木々の緑が一層鮮やかになる5月は、自然界が活発に動き始める時期です。人間と同じように、犬や猫たちも気候や環境の変化に敏感に反応しています。東洋医学では、この時期は「春から夏への移行期」として捉えられ、身体や気(エネルギー)のバランスが乱れやすい季節とされています。
東洋医学で見る「5月」の身体の変化
5月は「風」や「湿」の影響を受けやすい季節です。春の「風邪(ふうじゃ)」に加え、梅雨を前にして湿気が徐々に増してくることで、「湿邪(しつじゃ)」の影響も出始めます。これらの外的要因は、体内の「気」や「血(けつ)」の流れを滞らせ、さまざまな不調を引き起こします。
特に目立つのが、以下のような症状です。
- 食欲不振や胃腸の不調(脾の働きの低下)
- なんとなく元気がない、動きたがらない(気滞・湿困)
- 皮膚のベタつき、軽い湿疹(湿熱の影響)
- 関節のこわばりや痛み(湿邪による痺証)
このような不調を予防・緩和するためには、自然のリズムに合わせて、体の内外のバランスを整えてあげることが大切です。
おうちでできる!おすすめのツボケア
ここでは、5月に乱れやすい「脾」や「肝」、気血の巡りを整えるために役立つツボを3つご紹介します。いずれも指の腹でやさしくマッサージしてあげるだけで、ペットにとってリラックス効果も得られます。
① 三陰交(さんいんこう)
位置:後肢の内側、内くるぶしから上に指4本分の場所。脛の骨の後ろ側にあります。
効果:脾・肝・腎の三つの経絡が交わる重要なツボ。胃腸の働きを助け、むくみや元気のなさに効果的です。冷えにも◎。

② 太衝(たいしょう)
位置:前肢または後肢の足の甲側、第1指と第2指(親指と人差し指に相当)の骨の間、足首に近い部分。
効果:肝の経絡上にあり、気の流れを整える代表的なツボ。イライラや落ち着きのなさ、目の不調にも良いとされています。

③ 足三里(あしさんり)
位置:後肢の前面、膝の皿のすぐ下の外側。脛の骨のやや外側に位置します。
効果:消化機能を高め、全身の免疫力アップにもつながるツボ。元気がない時、食欲が落ちている時におすすめです。

マッサージのコツと注意点
マッサージは、「心地よい」と感じる強さで、1箇所あたり30秒〜1分を目安にゆっくり円を描くように行いましょう。ツボを押すというよりも、周囲の筋肉や皮膚をやさしくゆるめるようなイメージです。嫌がる場合は無理をせず、日を改めて行ってください。ご褒美や声かけで「マッサージは楽しい時間」と認識させていくことがポイントです。
最後に
季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期ではありますが、適切なケアを行うことで心身ともに健やかに過ごすことができます。東洋医学の視点を取り入れた日々の養生は、犬や猫たちの自然治癒力を高め、未病(病気になる前の状態)を防ぐ助けになります。
愛犬・愛猫がこの春も元気いっぱいに過ごせるように、ぜひツボマッサージを日々のケアに取り入れてみてください。