天気によって調子が左右されることってあるの?どうぶつと気象病について

8月の最終週は日本各地で台風10号による影響が長期間続きました。被害に遭われた方におかれましては心よりお見舞い申し上げます。

引き続き9月は台風が日本にやってくる可能性が高い時期です。

日によって気温の変動が激しいことや、天候不順が起こりやすいため人間でもなかなか体調維持が難しい時期です。

このように、気圧や気温(温度)、湿度などによって不調が生じるものを気象病と呼びます。

この気象病については、昔から外部環境の変化が人間の体に大きく影響していることを経験上理解はしていましたが、実際に医学的な論文などでも身体のいたるところに影響が及んでいる報告がなされています。特に、骨関節系、自律神経系、なかには歯周病の悪化要因が天候と関係しているとしている報告もあります。

では、犬や猫ではどうなのか?という点ですが、現在獣医療で気象病に関連した学術的な報告はほとんどありません。したがって、それぞれの経験則による部分が多いのですが、犬猫も気象によって健康を左右することは大いにあると考えています。

私(増田)が東洋診療を行うときにご家族さまによくお尋ねするのは、「気温や天候によって不調が出ることがありますか?」というものです。特にこれまで骨や関節などの整形外科でケガや手術歴がある場合や、心臓や呼吸器に関係した持病がある場合、あるいはてんかんや発作など神経系の治療歴がある場合などでは、雨や雪が降るあるいは降る前になんとなく不調が現れることがあります。

私たちを含めて、もともと外部の環境の変化があっても体温や血圧などを一定に保とうとする機能、ホメオスタシスが備わっています。ストレスや運動過多などでこれらのバランスを乱してしまうと、ちょっとした変化に体を適切に合わせていく過程で時間がかかることがあり、それが不調と感じることがあります。

しかも、これらは明らかに呼吸が荒さや、起立が出来ないといった目に見える形で異常となることは比較的少なく、「なんとなく」というレベルであることが多いため、診察を受けるべきか悩むことが多いかもしれません。東洋医療でいう「未病」の状態です。

この未病に対していち早く改善につなげていくことは東洋医療の強みの一つになります。基本的に、東洋医療は身体のバランスを整えることが得意とされていますので、まさに本領発揮できるタイミングになります。

漢方や鍼灸は明らかに病気があるとき以外にも、季節の変わり目や、診断がつかないもののなんとなく本調子でない、といった時にお役立てできる機会が意外と多いように感じます。

ここ数年は10月まではしっかり暑く、そこから急に秋を飛ばして冬になる傾向があり、からだに負担が大きくかかる傾向があります。無理せず日々の養生をしながら健康にお過ごしください。

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この記事を書いた人

The vet 南麻布動物動物は、循環器専門家のいる犬・猫の動物病院です。日本獣医循環器学会の認定医が在籍。心臓の内科治療や心臓手術の数多くの治療実績がございます。セカンドオピニオンもお受けしていますのでお気軽にご相談下さい。動物健康診断センターとトリミングサロン、ペットホテルも併設しています。