犬猫のための季節の養生法 ~7月編~

7月は一年で最も暑さが厳しくなる時期です。中医学(東洋医学)では「盛夏(せいか)」と呼ばれ、この時期は「暑邪(しょじゃ)」が体に影響を及ぼすとされています。

「暑邪」は陽気が過剰になることで体内に熱をこもらせ、同時に汗や体液を消耗させるため、犬猫にとっても体調を崩しやすい季節です。今回は7月特有の体調変化や養生ポイント、そしておすすめのツボマッサージをご紹介します。

目次

7月は「心」と「気陰」の消耗に注意

中医学では、夏は「心(しん)」が最も活発になる季節とされます。「心」は血液循環や精神状態を司る重要な臓腑ですが、暑さによる消耗や寝苦しい夜などで疲弊しやすく、次のような不調が起こりがちです。

  • 食欲不振・元気消失:胃腸が熱に弱り、消化機能が低下します。
  • 呼吸が荒い・体温調節がうまくいかない:体に熱がこもりやすいです。
  • 不眠や落ち着きのなさ:心が乱れ、精神的に不安定になることがあります。
  • 皮膚トラブル:熱と湿気がこもることで湿疹や皮膚炎が悪化しやすいです。

また、大量の汗(犬猫は舌や肉球から水分を放散しますが、体液の消耗は同様です)が「気陰(きいん)」を失わせ、だるさや脱水傾向を招くこともあります。

7月の養生ポイント

心を養い、体内の熱をさます

体を適度に冷やす食材(きゅうりなど)は少量なら良いですが、犬猫では与えすぎると胃腸を冷やしすぎるため注意が必要です。常食のフードに鶏むね肉や白身魚、かぼちゃなど胃腸に優しい食材を取り入れると良いでしょう。アレルギーがある場合、食事制限が出ている場合は獣医師にご相談ください。

水分補給を意識する

新鮮な水を常に用意し、ドライフードのみの場合はウェットフードや少量のスープで水分摂取を補うのもおすすめです。

環境管理

高温多湿を避け、エアコンや扇風機を活用しつつ、冷やしすぎないよう室温は25~27℃程度を目安に保ちましょう。

穏やかな運動

暑い日中は避け、涼しい早朝や夕方に散歩を行いましょう。激しい運動は心に負担をかけるため控えめにします。

自宅でできる!7月におすすめのツボケア

この時期は「心を養い、体内の熱を調整する」ツボが役立ちます。以下の3つのツボを、飼い主様の温かい手でやさしく刺激してあげましょう。

① 神門(しんもん)

場所:前肢の手首内側、小さなくぼみの中

効果:心を落ち着かせ、ストレス緩和、不眠や興奮気味の子におすすめ

使い方:親指で5秒押して5秒離すを5回繰り返す。リラックス時に行うと効果的です。

【神門 暑さや不安で眠りが浅いときに役立ちます】

② 大椎(だいつい)

場所:首の後ろ、首と背中の境目にある大きな骨の下

効果:体の熱を発散させ、免疫力を整える

使い方:人差し指と中指で優しく円を描くようにマッサージ。1日1~2分程度。

【大椎 首の根本で頸椎が最もくぼんだ位置にあります】

③ 曲池(きょくち)

場所:前肢の肘を曲げた時にできる横じわの外側端

効果:熱を冷まし、皮膚トラブルにも良い

使い方:親指で心地よい強さで5~10回円を描くようにマッサージ。

【曲池 肘関節の骨の少し手前のくぼみです】

おわりに

7月は暑さによる体力消耗と心への負担が大きい時期です。ツボマッサージは愛犬・愛猫とのスキンシップにもなり、リラックス効果も期待できます。ただし、元気がない、呼吸が荒い、ぐったりしているなどの症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。

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この記事を書いた人

The vet 南麻布動物動物は、循環器専門家のいる犬・猫の動物病院です。日本獣医循環器学会の認定医が在籍。心臓の内科治療や心臓手術の数多くの治療実績がございます。セカンドオピニオンもお受けしていますのでお気軽にご相談下さい。動物健康診断センターとトリミングサロン、ペットホテルも併設しています。

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