犬猫のための9月の養生法 〜東洋医学的視点から〜

 9月は、暦の上では秋に入る時期といわれますが、日本ではまだ暑さが厳しい状態ですね。とはいえ、ゆっくりと秋の気配も感じられるようになりました。日中と朝晩の気温差が大きくなる時期です。東洋医学では「長夏(ちょうか)」から「秋」へ移り変わる季節とされ、この時期は体調を崩しやすい特徴があります。特に犬猫にとっても、消化器系や呼吸器系の不調が出やすいため、日頃からの養生が大切です。

9月に多い不調と東洋医学的な解説

 東洋医学では季節ごとに体に影響を与える「五行」があります。9月は「脾(消化器系)」と「肺(呼吸器系・皮膚)」が影響を受けやすい時期です。

消化器系の不調

 夏の暑さ対策でエアコンを使います。からだが冷えすぎると「脾胃(ひい)」が弱り、食欲不振や軟便が見られることがあります。犬猫も同様で、フードの食べ残しや下痢・嘔吐といった症状が出やすくなります。

呼吸器系・皮膚の不調

 秋は「燥(乾燥)」の季節であり、肺に影響します。乾燥は咳や鼻の不快感だけでなく、皮膚や被毛のパサつき、かゆみを引き起こす原因になります。特にアレルギー体質の子やシニア犬猫では注意が必要です。

気温差による体調変化

 朝晩と日中の気温差で「陽気(体を温める力)」が消耗しやすく、免疫力が下がりやすい時期です。夏の疲れが出て体がだるそうに見えることもあります。

ご家庭でできる9月の養生ポイント

食事

 消化に優しいフードを心がけ、冷たい食べ物やおやつを避けましょう。秋の旬食材の中で犬猫に適したもの(さつまいも、かぼちゃなど)は「脾」を助ける働きがあり、おやつやトッピングに少量取り入れるのがおすすめです。療法食をご利用の際は、獣医師にご確認ください。

環境

 日中はまだ暑くても、夜は冷え込むことがあります。体温調整がしやすいよう、寝床にはタオルや毛布を用意し、冷えすぎないようにしてあげましょう。

プラスアルファのケア

 ブラッシングで皮膚の血流を良くし、乾燥対策を意識します。感想が気になる場合は加湿器を使用して適度な湿度を保つことも、秋の「燥」を和らげます。

飼い主さんでもできる!おすすめツボ3選

ここでは、犬猫に応用しやすいツボを3つご紹介します。軽く指で押す・マッサージするように刺激してみてください。1日1〜2回、優しく行うのがポイントです。

足三里(あしさんり)

 前足の肘を曲げた時にできるしわから、やや下外側にあるツボ。胃腸の働きを整え、元気を補う代表的なツボです。夏バテや食欲不振が気になる時におすすめです。

【足三里:膝の関節より少し前下方にあります】

合谷(ごうこく)

 前足の甲側、第1指と第2指の間にあるツボ。体全体のバランスを整え、免疫力を高める働きがあります。季節の変わり目に体調を崩しやすい子に役立ちます。

【合谷:親指の付け根の部分を軽くマッサージします】

肺兪(はいゆ)

 背中の肩甲骨のやや下、背骨の両脇にあるツボ。呼吸器や皮膚の不調に関係するツボで、乾燥による咳や皮膚トラブルがある時に有効です。ブラッシングの時に軽く撫でるように刺激すると良いでしょう。

【肺兪:呼吸器だけでなくからだの免疫力強化にも役立ちます】

まとめ

 9月は季節の変わり目で、犬猫の体にも負担がかかりやすい時期です。東洋医学の視点からは、「脾」と「肺」を養うことがポイントになります。食事や生活環境を少し整えるだけで、体調不良の予防につながります。ツボ押しやマッサージも取り入れ、愛犬・愛猫が健やかに秋を迎えられるよう、ぜひご家庭で実践してみてください。

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この記事を書いた人

The vet 南麻布動物動物は、循環器専門家のいる犬・猫の動物病院です。日本獣医循環器学会の認定医が在籍。心臓の内科治療や心臓手術の数多くの治療実績がございます。セカンドオピニオンもお受けしていますのでお気軽にご相談下さい。動物健康診断センターとトリミングサロン、ペットホテルも併設しています。

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