東洋医療担当の増田です。3月は寒さがゆるみ、日差しがやわらかくなる一方で、気温差や気圧の変動が大きい季節です。東洋医学では春は「肝(かん)」の季節とされ、気や血の流れをコントロールする働きが活発になります。自然界では芽吹きの時期ですが、体の中でも“上へ外へ”とエネルギーが動きやすくなります。
中医学で見る「3月」の体の変化
「肝」は気の巡りを整え、筋肉や腱、目、そして情緒の安定と深く関係しています。春に肝の働きが過剰になると、気が上にのぼりやすくなり、いわゆる「肝気亢進(かんきこうしん)」や「気滞(きたい)」の状態が起こります。
その結果、犬や猫では次のような様子が見られることがあります。
・落ち着きがなくなる、吠えやすい・怒りやすい
・いつもより興奮しやすい
・食欲にムラがある
・嘔吐や軟便などの消化器トラブル
・筋肉のこわばり、てんかん様発作の悪化(体質による)
・目やにや充血が増える
春は「動き出す季節」ですが、気の巡りがスムーズでないと不調につながります。3月の養生では、「肝の気をやわらかく巡らせること」「興奮を鎮めること」が大切です。
3月におすすめのツボ
ご家庭でできる、やさしいツボケアをご紹介します。
① 太衝(たいしょう)
位置:後肢の甲側、第2指と第3指の骨の間で、足首寄りのくぼみ。
作用:肝の気を整える代表的なツボ。イライラや興奮、消化器の不調にも有効です。
マッサージ法:親指でゆっくり円を描くように30秒ほど。左右行いましょう。

【太衝:後肢の甲の骨(中足骨)内側から数えて1本目と2本目の骨の間です】
② 肝兪(かんゆ)
位置:背中の中央部(第9肋骨と第10肋骨の間)、肩甲骨の後方で背骨から指2本分外側。左右にあります。
作用:肝の働きをサポートし、気血の巡りを改善。筋緊張が強い子にもおすすめです。
マッサージ法:両手で背中を包むように、呼吸に合わせてやさしく押したりさすったりします。

【肝兪:安眠にも使えるツボのひとつです】
③ 百会(ひゃくえ)
位置:頭のてっぺん、両耳を結んだ線と正中線の交わるところ。
作用:気の高ぶりを鎮め、精神を安定させるツボ。興奮しやすい子や不安が強い子に。
マッサージ法:指の腹で軽く触れる程度に、静かに10〜20秒押さえます。強く押さないことがポイントです。

【百会:超小型犬で頭頂部に穴が開いている場合は使用しないようにしましょう】
マッサージのポイント
春は特に“やさしさ”が大切です。強い刺激はかえって肝を刺激し、興奮を助長することがあります。暖かい室内で、落ち着いているタイミングに行いましょう。声をかけながら行うことで、安心感も高まります。
おわりに
3月は、自然界と同じように犬や猫の体も大きく動き始める季節です。東洋医学では「春はのびやかに」が養生の基本とされます。無理に抑え込むのではなく、気の流れを整え、穏やかに巡らせてあげることが大切です。
日々の小さなケアが、春の不調を防ぎ、心身ともに安定した毎日につながります。愛犬・愛猫の様子をよく観察しながら、季節に寄り添った養生を取り入れてみてください。