犬猫のための10月の養生法 〜東洋医学でみる秋深まる季節のケア〜

10月は秋も深まり、朝晩の冷え込みが一段と強まる時期です。夏から秋への変化で体調を崩した犬猫に加え、乾燥や寒暖差の影響が出やすい季節でもあります。東洋医学ではこの時期を「(そう)(じゃ)(乾燥)」と「(かん)(じゃ)(寒さ)」が入り込みやすい季節ととらえ、体を潤し、ほどよく温めることが大切とされています。

目次

10月に多い不調と中医学的な解説

秋の主な臓腑は「肺」。肺は呼吸器だけでなく、皮膚や被毛、からだを守る防衛機能、つまり免疫にも関わる重要なところとされています。乾燥は肺を弱らせ、「皮膚のかゆみ」「被毛のパサつき」「咳」「鼻水」「涙やけ」などの症状が出やすくなります。特にアレルギー体質や高齢の犬猫では、皮膚バリアが弱まりやすく、湿疹やかゆみが悪化することがあります。

一方で、朝晩の冷え込みが増すことで「冷えによる血の巡りの悪さ」も目立ってきます。冷えは気や血の流れを滞らせ、関節のこわばりや腰痛、シニア期に多い関節炎の悪化を招くこともあります。中医学ではこれを「寒湿(かんしつ)」の影響ととらえ、体を温めて流れを良くすることが重要です。

また、10月は「気温の下降」に体が追いつかず、免疫力が低下する時期でもあります。犬猫がなんとなく元気がない、食欲が落ちる、寝てばかりいる…といった変化も、季節の影響による「気や血の乱れ」が原因かもしれません。

ご家庭でできる10月の養生ポイント

・体を冷やさない工夫を

朝晩は気温が下がるため、寝床にふわっとした毛布やクッションを追加しましょう。床からの冷えは関節トラブルの原因になるため、ベッドを少し高くしたり、マットを敷くのもおすすめです。

・潤いを意識した食事を

乾燥対策には、「肺」を潤す食材を取り入れるとよいでしょう。犬猫用としては、白ごま、さつまいも、れんこんなどを少量トッピングするのがおすすめです。これらは体をやさしく潤し、咳や皮膚の乾燥を防ぐ働きがあります。

・無理のない運動を続ける

涼しくなって過ごしやすくなる10月は、運動不足解消にも良い時期です。ただし、冷えた朝夕の散歩は筋肉が硬くなりやすいので、準備運動として少し体を温めてから外に出ましょう。

ご家庭でできる!おすすめツボ3選

風門(ふうもん)

肩甲骨の内側、背骨の両脇あたりに位置するツボ。風邪(外からの風邪邪気)を防ぎ、免疫を高める働きがあります。ブラッシングの際に背中を撫でるように刺激すると、体表の気の巡りが整いやすくなります。

【風門:咳を鎮めるほか、頸部や肩の痛みの軽減にも役立ちます】

腎兪(じんゆ)

腰のやや上、背骨の両脇にあるツボ。冷えからくる腰や後肢のだるさ、関節痛に効果的です。特にシニア犬や寒がりな猫ちゃんにおすすめで、手のひらで温めるように軽くマッサージあるいは温灸やホットパックなどが活用できます。

【腎兪:アンチエイジングや腰痛など幅広く活用できるツボのひとつです】

太谿(たいけい)

後足の内側、アキレス腱と骨の間にあるツボ。腎の働きを補い、冷えや老化の予防に役立ちます。冷えが強い子には、湯たんぽやホットタオルで温めながら優しく触れると効果的です。

【太谿:内側のくるぶしの上方にあるくぼみです。反対側のツボの崑崙(こんろん)と合わせて挟んでマッサージすると便利です】

まとめ

10月は、乾燥と冷えが同時に進む季節。東洋医学では「潤いを守り、冷えを防ぐ」ことが養生の鍵とされています。食事や住環境を少し工夫し、ツボマッサージを取り入れることで、犬猫の体調を整えやすくなります。

秋の深まりとともに、体も心も落ち着く時期。季節の変化を上手にサポートし、愛犬・愛猫が健やかに秋を過ごせるよう心がけてあげましょう。

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この記事を書いた人

The vet 南麻布動物動物は、循環器専門家のいる犬・猫の動物病院です。日本獣医循環器学会の認定医が在籍。心臓の内科治療や心臓手術の数多くの治療実績がございます。セカンドオピニオンもお受けしていますのでお気軽にご相談下さい。動物健康診断センターとトリミングサロン、ペットホテルも併設しています。

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