8月は一年の中でも暑さのピークを迎える季節です。近年は猛暑日が続くことも珍しくなく、犬や猫たちの体には大きな負担がかかっています。熱中症への注意はもちろんですが、東洋医学では夏の終わりにかけて現れる「夏バテ」にも注目します。
中医学では、長期間の暑さによって体のエネルギーである「気(き)」と、体を潤して熱を冷ます「陰(いん)」が消耗した状態を「気陰両虚(きいんりょうきょ)」と呼びます。特にシニア犬・シニア猫や、心臓病・腎臓病・慢性消化器疾患などを抱える動物では、この影響を受けやすいと考えられています。
中医学で見る「8月」の体の変化
夏の暑さによって体は大量の熱を放散し、水分を消費します。その状態が長く続くことで、「気」と「陰」が不足していきます。
犬や猫では次のような変化が見られることがあります。
・食欲が落ちる
・水をたくさん飲む
・疲れやすい
・散歩や遊びを嫌がる
・呼吸が荒くなりやすい
・寝ている時間が増える
・体重が減少する
・軟便や消化不良
・高齢動物で持病が悪化する
また、「陰虚(いんきょ)」が進むと体内に熱がこもりやすくなり、
・舌の色が赤い
・肉球や耳が熱っぽい
・落ち着きがない
・夜間にそわそわする、不眠になる
といった様子がみられることもあります。
8月の養生では、「不足した気を補うこと」と「消耗した潤いを回復させること」が重要になります。
8月におすすめのツボ
足三里(あしさんり)
位置:後肢の膝のお皿の下、やや外側のくぼみ。
作用:胃腸機能を整え、気を補う代表的なツボです。食欲低下や夏バテ予防におすすめです。
マッサージ法:親指でやさしく円を描くように、左右それぞれ30秒ほど刺激します。

【足三里:ひざの健康維持やおなかのはたらきにも使えるツボです】
気海(きかい)
位置:おへそのやや後方、腹部中央付近。
作用:全身の気を補い、疲労回復を助けるツボです。元気が出ない時や体力低下時のケアに適しています。
マッサージ法:手のひら全体でお腹を包み込むように、ゆっくり温めながらさすります。

【気海:かるくさするだけでOK、夏場のおなかの不調に役立ちます】
腎兪(じんゆ)
位置:腰のあたり、背骨を挟んで左右に指2本分ほど外側。
作用:腎の働きを補い、加齢による体力低下や慢性疾患のサポートに用いられます。特にシニア犬・猫の養生におすすめです。
マッサージ法:手のひらで腰を包み込み、やさしく円を描くように温めます。

【腎兪:とくにシニアのわんこ、にゃんこにはおすすめです】
夏の終わりの養生ポイント
8月は「無理をさせないこと」が何より大切です。
暑い日は散歩時間を短くしたり、早朝や夜間の涼しい時間帯を選んだりすることが重要です。また、食欲が低下している場合には、食事を少量ずつ複数回に分ける工夫も役立ちます。
高齢の動物では、見た目には元気そうに見えても体力の消耗が進んでいることがあります。若い頃と同じ活動量を求めず、その子のペースを尊重することも立派な養生です。
さらに、ツボマッサージは単なる刺激ではなく、飼い主様とのコミュニケーションの時間でもあります。毎日触れることで、小さな体調変化にも気づきやすくなります。
おわりに
8月は暑さによる疲れが蓄積しやすい季節です。東洋医学では、夏を無事に乗り切れるかどうかが、その後の秋冬の健康状態にも影響すると考えます。
「最近少し元気がないかな」「食欲が落ちているかな」と感じたら、それは体からの小さなサインかもしれません。
愛犬・愛猫の様子をよく観察しながら、気と潤いを補う養生を取り入れ、元気に秋を迎える準備をしていきましょう。