東洋医学をどうぶつに?その実際のところ -鍼とツボ-の続き

南麻布動物病院ブログ 20230624

前回私がご紹介した記事で、どのような時に鍼を使って治療する機会が多いかについてご紹介しました。

今回はこの続きとなります。治療によってどう変化したかを動画でご覧いただきたいと思います。「百聞は一見に如かず」ということですね。

症例のわんこ

犬種 ミニチュアダックスフンド
年齢 14歳
性別 去勢オス

ご来院前の様子 急に腰が抜けて動けなくなった。後ろ足に力が全く入らなく、自力で排泄が出来ない状態で漏れてしまう。かかりつけの獣医師の先生からは、胸椎椎間板ヘルニアグレードⅤと診断された。麻痺の程度が強く高齢であるため手術は難しいとのことで相談を兼ねてご来院された。

初診時の様子 深部痛覚(後肢の指間をつねって痛みの反応を見る)なし、会陰反射(おしり周りを触った反応)なし、神経学的検査で第11胸椎付近から神経麻痺兆候がみられる。

東洋医学的弁証 : 痺証 気血両虚証 脾腎陽虚証
治則 : 補虚宣痺 補気益血 温補脾腎

初診のときの様子です

上記の高齢のわんこに対して鍼を実施しました。

鍼を刺すツボは「膀胱経」呼ばれる背骨の両脇に存在するツボをメインに、後肢の主要なツボをいくつか使いました。

麻痺がみられる症例で、電鍼と呼ばれる方法を好んで使用するのですが、これは鍼を電極に見立てて通電することで筋肉や神経に効率よく刺激を加えられるメリットがあります。

これらの施術を最初の1か月は週に1回ほど、その翌月は2週間に1回の頻度で通院していただき施術を行いました。

治療をしてから2か月後の様子です。

こちらのわんこは、起立や歩行ができるようになってから引き続き不調が生じないように鍼や漢方を継続したほか、ご自宅でのマッサージや水浴などを実施して、再発をすることなく過ごせました。

鍼以外で採用した方法は、漢方です。こちらもこのわんこの体調や年齢、基礎的な体質などから漢方の種類や服用量を適宜調整しました。漢方については、また別の機会にご紹介します。

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